「起業そして失敗、その後」 経営学部卒業生西岡氏の講義

12月12日の「ベンチャー企業論B」では、経営学科卒業生である 西岡 靖裕 氏(1987年経営学科卒業)をお招きし、「起業そして失敗、その後」をテーマとした講義を開催しました。現在、株式会社菊星にて製品開発を担当されている西岡氏は、かつて自ら立ち上げた事業から離れた経験をお持ちです。その経験から得た「失敗からの16の教訓」など、あまり語られることのない起業のリアリティを学生たちに伝えてくださいました。

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西岡氏の学生時代の研究テーマは「消費者ニーズをいかにして把握するか?」でした。当時、日本では「マーケティング」という概念がまだ十分に定着していない時代です。卒業後の1989年、西岡氏は心理学領域をベースとし、マーケティングリサーチからコンセプト開発までを支援するサービス事業を共同創業者と共に開始されました。バブル景気の追い風を受け、事業は順調に売上と利益を伸ばしました。しかし、経営理念を後回しにした同社。共同創業者が作った負債が雪だるま式に増加していきます。結果として、社員のモチベーションは低下し、組織は崩壊。西岡氏は志半ばでこの会社を去るという苦渋の決断をされました。

この経験から、西岡氏が生み出したのが「失敗からの16の教訓」です。この教訓こそが、現在菊星における同氏の新製品開発や研究開発に大きな影響を与えていると言います。西岡氏は「失敗したほうが身につくことや成長させることのほうが大きい。最初から成功を求める人は怖がって何もできない」と語ります。

過去の経験を包み隠さず語る西岡氏のメッセージは、安全志向になりがちな学生たちの胸に深く響きました。質疑応答では、学生から質問が相次ぎました。

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「なにをもって起業は成功したといえるのでしょうか。」の質問には「継続的に利益が出ていること、年度ごとの利益が増えていれば成功しているといえます。ただし『成功した』では過去形になってしまいます。成功は続けることが大切です。」と回答されました。また、「大学生のうちにやっておいたほうがいいと思うことはなんでしょうか。」の質問には「やはり勉強だと思います。経営学部で学ぶ内容は、自然と社会に出て扱う内容であり、大きなアドバンテージを持っています。」と回答されました。

講義終了後、受講した学生からは「成功例はよく聞くのですが失敗例を聞くことはありませんでした」「起業における理念やビジョンの共有の重要性が理解できました」「今からたくさん経験し、失敗から学ぶことで、大きく成長したいと思います」といった感想がありました。

卒業生だからこそできる、裏表のないお話に心より感謝申し上げます。

ありがとうございました。

(H.K.)